排他的経済水域、接続水域、領海の違いを知ってますか?
最近は近隣諸国に関する物騒なニュースが多くなってきましたね。
例えば、
- 北朝鮮の弾道ミサイルが日本の排他的経済水域に落ちた
- 中国の船が日本の領海を通行した
というようなニュースです。
領海だとか排他的経済水域だとかが登場する話題というのはあまり嬉しいニュースは無いですよね。
多くの国は隣国と陸地で繋がっており、その境界には国境があります。
EU諸国のように国境を自由に越えられる国もあれば、国境を越えると捕らえられてしまう国もあります。
一方、日本は島国なので、国境についてあまり意識はしないですよね。
普通に生活をしていて国境を越えてしまったり、国境を越えて人がやってきたりすることもありません。
しかし当然陸地で繋がっている隣国がなければ国境は無い、というわけではありません。
海上にも国境はあり、国家の領域もあります。それが「領海」であり、それに関係するのが「排他的経済水域(EEZ)」であり、「接続水域」なのです。
ところで、この「領海」「接続水域」「排他的経済水域(EEZ)」って学校で習ったけど・・・でもわかっているようで、実はあまりわかっていない人も多いのでは?
それぞれの広さもイメージできますか?
ニュースでよく聞く「排他的経済水域」「接続水域」「領海」の違いについて、改めて整理しておきたいと思います。
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日本における「領海」「接続水域」「排他的経済水域」
下のイラストは、日本における「領海」「接続水域」「排他的経済水域」です。
地図で言うと、黄色の部分が領海で、白色の部分が排他的経済水域、その間の水色が接続水域です。
それぞれの広さはというと、
- 国土面積:約38万k㎡
- 領海:約38万k㎡
- 接続水域:約32万k㎡
- 排他的経済水域(含、接続水域):約405万k㎡
領海と接続水域を含む排他的経済水域を合計した領域の広さは約447k㎡で、日本の国土領域と比較すると10倍以上の広さとなります。
領海と排他的経済水域を合わせた水域の広さを世界でみてみると、アメリカ、オーストラリア、インドネシア、ニュージーランド、カナダについで第6位の広さなのです!
日本は地図で見ると小さな国に見えますが、実は大きな領域を持った国なんですね。
陸地に接しているところ「領海」
「領海」とは領海の基線から外側12海里(約22km)の海域のことです。
領海の基線というのは「ここまで陸地!ここから海!」という分かれ目のことです。
ただ、潮の満ち干きによってはその位置は変わってきますよね。
ですので、潮の干いた低潮時の時に海面と陸地の境目となる位置を基線と決めているのです。
領海は、領土や領空と同じようにその国の主権が及ぶ領域で、その主権は領海の上空や海底にも及びます。
領土や領空だと他国がふらっと入ってきたら捕らえられますが、領海の場合は海外船舶の無害通航権という権利があり、沿岸国の平和や秩序、安全を脅かさなければ自由に通行してもいいことになっています。
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いくつかの権利が認められる「排他的経済水域」
排他的経済水域は英語の略称でEEZとも言われ、略称もよく使用されます。
領海の基線から200海里(約370km)の領域で、領海(基線から12海里)を除いた部分を排他的経済水域といいます。
日本の排他的経済水域は率直に言うと「日本」ではありません。
基本的に日本の法令は通用しないし、外国船舶の航行も自由です。
では、排他的経済水域って何なの?となりますが、排他的経済水域には次の権利が認められています。
- 天然資源の開発等に係る主権的権利
- 人工島、設備、構築物の設置及び利用に係る管轄権
- 海洋の科学的調査に係る管轄権
- 海洋環境の保護及び保全に係る管轄権
身近なところでいうと、日本の排他的経済水域内での漁業は日本が主権を持っています。
日本が認めないと、他の国は漁業はできません。
尖閣諸島の排他的経済水域の一部で台湾の漁業を認めるというニュースが一時話題になりましたね。
排他的経済水域と領海の緩衝帯「接続水域」
接続水域は排他的経済水域の一部で、領海の外側から12海里(約22km)の領域をいいます。
接続水域に関しては、領土・領海の通関上、財政上、出入国管理上(密輸入や密入国)、衛生上(伝染病等)の法令違反の防止や違反処罰のために必要な規正をすることができます。
つまり、領海と排他的経済水域の緩衝帯の役割で、領海に侵入してくる船舶や領海付近を航行している船舶を接続水域で強制的にチェックできるようなイメージですね。
まとめ
この「領海」「排他的経済水域」「接続水域」の違いを簡単ですが、まとめてみました。
「領海」は「領土」よりも軽視されがちですが、「領海に他国の船舶が侵入」や「排他的経済水域に弾道ミサイル」ということは、とても重大な事態ということです。
これらの違いがわかるだけで、中国や北朝鮮のニュースの理解度が格段にあがると思います。
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